景気を良くする話

さまざまな景気回復策が唱えられている。経済の事はわからないから、あまり現実的な話をしてもしようがない。そこで、景気を256倍くらい良くするにはどうすればよいか考えてみた。

景気を256倍良くするということは、一人あたりGDPが256倍になるということである。だれもかれもが256倍の年収を持つということだ。256倍の収入があれば256倍の支出がなければならない。そうでなければたちまち多額の貯蓄が生まれてしまう。支出がそのままでGDPが256倍であれば現在のGDPの255倍の貯蓄が年々生まれるわけで、これでは行き場を失った貯蓄が暴走し、経済は大混乱となるだろうことは素人の僕でもわかる。

この簡単な解決策は、いろいろな支出を平均的に256倍にすることだ。米もガソリンも土地も256倍にすれば、支出と収入のバランスは保たれる。しかしこれは経済成長でなく、インフレと呼ぶべきで、経済成長とは異なるもののようである。統計上も成長とは金額上のGDPを物価指数で割ったものだから、全部の価格が上昇したのでは成長にはならない。

したがって、今の生活を続けるすべてのコストは収入の1/256でまかなえ、かつ収入の大部分を費するに値する何かが生まれるということでなければならない。そしてその社会の大部分の活動はその何かを生み出すということなのだろう。

その何かは、真に現在の生活の255倍にふさわしいものでなければならない。そうでなければ、僕は256倍の収入よりは1/256の仕事量を選ぶ。つまりだれも働かないだろうから、256倍のGDPに達する前に成長が止まり、資本主義が崩壊してしまう。

こうしてみると、どうもGDPが256倍になるというのは量的な変化ではあるが、質的な変化を伴わざるを得ないことは確実なようだ。ま、これは空想上の話ですぐに心配するほどのことではない。

しかし、そうそう軽く笑って済ますこともできないはずだ。256倍というのはそんなに先の話ではない。平均5%の成長で256倍に達するまでは、たったの110年である。