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2002年を振り返って/2003年への期待  
   金子格 個人ホームページ http://www.it-aru.com/    
   

今年の背景は青にしました。

2002年を振り返って

~昨年の10大ニュース~
世界で
グローバルデフレへ突入
・経済学新潮流

日本で
・小泉政権
・北朝鮮問題
・MPEG淡路会合
個人的には
・一族健康/これ幸いなり
・今年はロンドン
・仕事
・博士号
2003年への期待(暫定版)

~2002年への期待ベスト10~
世界
米国経済への懸念
デフレ?それともインフレ?
日本
USENブロードがやってきた
田中さんといえば?
私自身の課題
就職
HDレコーダは買い時?
MPEG-21とMPEG/IPMP
今後の研究テーマ

グローバルデフレ突入
2000年にITバブルがはじけ、2001年には米国経済が調整に入り、2002年にはいよいよ欧州も含め世界的なデフレ時代に突入しました。経済のグローバル化が進めば歴史上は常に価格低下が起こっていたわけで、これは経済の自然な流れと受け止めるべきと思います。まだデフレか、とつい暗くなりがちですが、前向きに受け止めれば日本はこの世界的なトレンドの先頭を走っていたことになるのでは。日本企業もずいぶんデフレに強い体質になりました。また500兆ともいわれる公的部門の不良債権をかかえながら、通貨不安に陥らない国民の不動の信頼(?)もあります。米国債権だけで1人250万近く持ってますので、日本人は平均的にいえばほぼこの先遊んでいても食べ物と着る物だけは困らない金融資産を保有しているわけす。デフレが進むとその価値も上がりますが、それはそれで悪いことではないはずです。
経済学新潮流
あまりこの分野をちゃんと学んでこなかった私には、日経に連載中の「巨匠に学ぶ」シリーズはなかなかためになりました。マルクスやケインズなど、その時代の政治的課題と密接に関連しすぎていたために、正しく伝わりにくかった面があるように思います。今、古典として客観的に解説してもらえると、アイデアの本質が非常に素直に受け止められ、なぜこれらの先人が天才と呼ばれたかもよくわかります。最近の経済学の傾向としては、ダニエル カーネマン、バーノン L.スミスなど、実験的、実証的な手法も出てきました。工学系の私にも理解しやすい領域になってきました。
小泉政権(2)
「やぁ出来てしまいました小泉政権」。と書いたのはたった1年前。昨年心配したののは、1)抵抗勢力に屈すること、2)世論に迎合すること、3)外圧に流されること、の3つだったのですがこれらの心配はなさそう。逆に調整型ではないので、好まない人もいるようですが、いいんではないでしょうか。問題は経済政策が正解かどうか。これについては国民の側の問題もあり政策だけに頼るべきではないと思いますが、成功してほしいと願っています。
北朝鮮問題
昨年は「少年犯罪」が問題とされていたのですが、「北朝鮮問題」も根は一つかもしれません。無関心、放置状態ということが確かにこの問題を大きくしました。だいたい何が起きているかはうすうす感じ取っていたと思いますが、プロフェッショナルに戦略的に対応できる体制が整っていないような気がします。行政の問題もありましたが、マスコミだってそうとうできたことがあったはず。常に様々な危険に関心を持つよう心がけたいものです。
MPEG淡路会合
多少内輪の話題ですが、今年はISO/IEC MPEG会合が淡路夢舞台で開催されました。MPEG会合というのはデジタルテレビなどで使うMPEG標準を策定している標準化団体。デジタル技術の需要はますます増えており、MPEG標準化会議も実は規模を増しながら活発に次世代のニーズに応える標準作成活動を行っています。作っている標準の内容は学会誌等に書いていますのでそちらをどうぞ。
ところで、会議の準備は標準化委員が協力して行っており、今回の会議の準備メンバーとして若干のお手伝いをしました。会場となった淡路夢舞台は、以前TV Any Timeフォーラムという会議に出た人の評判があまりよくなかった、という話を聞いていたのでちょっと心配でしたが、行ってみればホテルも新しくて立派だし、交通の便も意外とよく、文句のない出来でした。
しかし余計なことかもしれませんが夢舞台はちょっとだけ設備過剰な気がして心配です。うまくランニング・ロスを押さえて、効果的に運用できると一番いいのですが。
一家健康・これ幸いなり
毎年のことですが、おかげさまで今年も金子家、奥田両家の両親とも大きな病気もなく元気です。
両親がemailを始めたと書きましたが、(金子)母の方はemailもだいぶ慣れてきて、母とは週一回くらいemailを交換しています。父は老人会の仕事に夢中でemailはほとんど読まない。そろそろ親戚一同の連絡にも使えるのでは、とも思います。ただ僕たちの世代は電話に出られない時間が多いのでemailが便利ですが、いつも家にいるなら電話の方が便利ですね。
今年はロンドン
昨年は退職日をウイーンで迎えましたが、今年の正月はロンドンで迎えました。
今回泊まったDolphin Square Hotel(写真)がなかなか気に入ってます。バッキンガム宮殿から1kmという便利なところにありながら、閑静な住宅地で1部屋が広く、寝室、リビング、キッチン、バスも別々。
観光はもっぱら都子さんの好きな美術館巡り。ちょっと面白いと思ったのは、テイトモダンの巨大インスタレーション。工場跡地を利用した美術館の性格に合わせてのことと思いますが、中古を利用したのか巨大クレーンが設置されていて、この巨大な展示が可能となっています。(写真中の人影に注目すると大きさが分かると思います。)展示は半年毎に変わるそうです。
仕事
1昨年アスキーを退社した後の就職活動が今ひとつパッとしませんでしたのでちょっと恥ずかしい。とりあえず働き盛りに無為に時間を費やすわけにはまいりませんので、出来る仕事をまめに引き受けております。
2002年からこの方針に転換して、個別の仕事も引き受けるようにしたら、こちらはけっこういろいろお仕事をいただけました。だいたい前職と同程度の年収が確保できる水準になりましたので、何のバックアップもない個人が営業した成果としてはいい方だと思います。現在はTAOという政府系研究機関に席を置く身で副業は禁止されておりますので、個人営業のうち半分は6月まで済ませ、残り半分は2003年まで待ってもらうことにいたしました。「忙しいので一年まってね」というのはなんかものすごい対応でお客様には大変申し訳ないのですが、TAOの方も本人もよくわからないうちに採用決まってしまい決まってしまってから従業員規則がやってきたので、不可抗力ではないかなぁと思います。
来年度については某大学に籍を置かせてもらう予定なので、特に個人で受けた業務も普通に可能な予定。どうもこれが一番世の中のお役にたつようです。
博士号
一応ほぼ予定通り取得できました。予定外に落ちた論文があったのでちょっと危なかったけど。
いろんな人に助けてもらいました。ありがとうございました。
米国経済への懸念
みなさん心配なのは米国経済。現在は強力な消費拡大政策で維持されているようですが、どこまで持つか多くの人が不安に思っていると思います。米国債300兆円というとなんかよくわからない数字ですが、僕はたいていこれらを一人当りに換算して考えることにしています。日本人1名対米国人2名に換算してみれば、日本人は1500万円の貯金と500万円の借金があり、1500万のうち300万円は米国債、250万円は東証一部株券、100万円くらいが土地で、500万円が他人の借金、300万円が不良債権という状態。米国はちょうどこの300万円分公的部門や個人が借金を抱えているわけです。平均値でこれだけストックに差があるのはやはり問題なような気がするなぁ。
デフレ? それともインフレ?
デフレに慣れすぎて、永遠にインフレなんか来ないような気がしてきますが、過去の例を見ると多くの人が現物資産を売り払った後では強烈な資産インフレがやってくることが時々あるようですのでちょっと気になります。10年デフレの間に貯蓄だけがどんどん増えて資産価値が下がった結果、どうも金目のものはもうほとんど残っていません。現金資産が1200兆、紙幣として滞留している現金が貯金が75兆、土地が300兆、株式じか総額が250兆、米国債が300兆ですから、やっぱり手持ちのお金を全部使おうとすると、300兆不足します。大きなギャップがありそうだというのは私にも分かるのですが。ちょっとインフレが進み株価が倍になればいいのかなぁ。でもそうすると株持っている人は儲かるから余計にお金が生み出される気がしますし。一度余ってしまったお金は簡単には消滅しないようで、どうすると余った流動性が解消するのか僕にはよくわかりません。ようするに大多数の人が、物が安くなったら買い、高くなったら売っていれば問題は生じないように思いますが、高い時に買って安くなると売る人が多いからいけないんだよね。
USRNブロードがやってきた
えっと2002年も末の12月26日、ついに当家にもUsenブロードFTTHが開通しました。さっそく導入した無料電話。故あって当面NTTは解約しませんので基本料金はかかりますが、FLETSとプロバイダを解約するだけで月4000円節約できるのはもうけもの。いやぁブロードバンドって本当にいいですね。
田中さんといえば 
昨年は、田中さんといえば異色県知事、ぶっとび外務大臣、そしてついにノーベル章受賞者も輩出しました。田中一族躍進中です。日立に就職した時に同期だった田中さんもユニークな方だったなぁ。
就職
昨年はTAOという親方日の丸の安定した職場だったのですが、来年はまた「流しの研究者」生活を始めようと思います。収入面はどちらも大差ないのですが、なるべく世の中のお役にたつ仕事をしたいと思っています。これもどちらがよいか、難しいところですが。
HDレコーダは買い時か
女房の知り合いにHDレコーダを買う人が増えています。こういうものは後から買う主義なので当家は未導入ですが楽しく検討させていただいております。新製品の出始めというのは各社思い入れがあって面白い。N社は安さ爆発。T社は業界最高スペック。P社は実用本位(コピーマシン?)と、分かる人には分かる批評だと思いますが、いかにも各社の性格が出ていますね。
MPEG-21とMPEG-IPMP
今年はMPEG標準の中のIPMPという規格がMPEG-4/IPMP, MPEG-2/IPMPと規格化へ向かい最終段階に入りました。「情報処理」9月号に寄稿しましたのでこの分野に興味のある方はそちらをお読み下さい。
今後の研究テーマ
当面大きな組織で働く機会がなさそうなので、「流しの研究者」をやっていくことになりそうですが、私に業務委託をする場合には、個人、大学、提携企業への発注、いずれの形も可能です。
今年はネットワークのコンテンツ配信のアーキテクチャーに多少力を入れていこうと思います。昨年まで意外かもしれませんがこの分野の需要はほとんどありませんでした。だんだんと興味を示す企業が増えてきたようですので、そろそろこちらに力を入れようと思います。