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2001年を振り返って/2002年への期待  
   金子格 個人ホームページ http://www.it-aru.com/    
   

今年の背景は黄色にしました。幸せの黄色? 要注意の黄色?

2001年を振り返って

~昨年の10大ニュース~
世界で
世界的デフレ時代
・ユーロ流通開始
米国同時多発テロ事件
日本で
・小泉政権
・少年犯罪多発
・BSE(狂牛病)パニック
個人的には
・一族健康/これ幸いなり
・結婚10周年
・アスキー業績不振/退職
・デジタルTV購入
2002年への期待

~2002年への期待ベスト10~
世界
戦争は根絶できる?
人は存在意義を見出せる?
今年注目の技術は?
日本
職業経営者不足をどう解消する?
今年活躍する企業は?
どうなる田中さん?
私自身の課題
就職
博士号
MPEG/IPMP
今後の研究テーマ
I世界的デフレ時代
ITバブルがはじけ911のいきおいで米国が不況に陥り、今年はついに世界的にデフレの年となりました。まぁ
ユーロ流通開始
いよいよ2002年からEUROの流通が開始されます。フラン、マルク、リラ、シリンク、... 長い間ご苦労さまでした。ここ数年出張が多かったので、各国の通貨のコレクションがだいぶ集まりました。別に希少価値は出ないと思いますが、記念にとっておくことにいたします。しかし、先進国の8割の人がユーロとドル以外の通貨に接することがない、という文化的側面にも注目する必要がありますね。一生涯外貨というものに接することがないわけですから、円なんていう通貨は一般人にはお金として認識されないようになると予想すべきなのかもしれないですね。
日本人や日本企業が海外で物を購入する場合も円決済はほとんど行われないようです。円というのはいわば、日本だけで通じるポイントカードのようなもので、特典が多いからといってあまり貯めすぎるのは禁物。注意しましょう。
米国同時多発テロ
この事件の意味付けは時間とともに整理されると思います。もちろん大事件だったのは間違いないですが、その後の進展に関する反応はかなり個人差があると思います。
個人的に「あれっ」と思ったのはやはりブッシュ政権がこれを「戦争」と呼んだことです。もちろん僕は戦争体験者ではないのですが、戦争といえばたとえばベトナム戦争とか第二次世界大戦を思いおこすわけで、その意味ではビル一つが破壊されたことを「戦争」と呼ぶのはちょっと戦争を矮小化しているように感じます。犯罪と考えれば、史上まれにみる凶悪かつ大事件ですが、これを戦争と呼んだことには軽い衝撃を覚えました。もちろん大部分の米国人は、普通戦争被害にあえばもっと悲惨であることは理解していると信じますが。そうでなかったらちょっと怖いですね。
小泉政権
やぁ出来てしまいました小泉政権。で、せっかく出来た本格的改革政権で心配なのは、1)抵抗精力に屈すること、2)世論に迎合すること、3)外圧に流されること、の3つですがどうも見ているとこれらの心配はなさそうです。本人がわりと回りを気にせずに信じるところを実行するタイプのようなので、まぁ期待できます。財務省の操り人形なんて悪口をいう人もいるみたいですが、せっかくホームランを狙える順番が回ってきたのだから、いい意味で野心を持って大きな目標に向かっていくと期待することにいたします。竹中さんもかわいいしね。
少年犯罪多発
もっとも僕の問題意識は犯罪をおかす少年が増えたことにはありません。若者は暴走するのがあたりまえ。そんなに若者を押さえつけたら社会の活力がなくなってしまいます。問題はどうも、周囲にどこまで放置してよくて、どこあたりで手を差し伸べるべきかという基準がおかしいのではないかということ。へんな人が1%くらいいるのは正常ですが、おかしな状態をだれもおかしいと思わない、50%以上の人が判断力を失っている状態というのはちょっと怖いです。
やっぱりへんな時はへんだと言うのは大人の責任でしょう。
ビンラディン氏も危険ですが、彼一人では何もできなかったはず。本当の問題は今回のような行動が少数の人間にでも支持される社会の構造にあると思います。その意味で少年犯罪は、後に述べる狂牛病パニックと同じく、今年発現した憂慮すべき傾向の一つのように思えます。
BSE(狂牛病)パニック
BSEパニックがへんなのは言うまでもありません。
1 BSEが発見されたのは国内なのに、どうして輸入肉の消費が減少するか?
2 なぜそもそもCDJ感染を恐れる人が出たか? (BSE牛肉を食べたところで、たばこ一本を間接喫煙するほどの危険もありません。)
興味深いのは、よく聞いてみればマスコミはちゃんとBSE牛肉を食べてもCDJにはならないと説明しているということです。風説被害で訴えても、「いえ、BSE牛を食べるとCDJになるとは一言も言っていません」と逃げられます。すべての専門家に一致した見解として、BSE牛肉を食べる危険はさしたるものではないと言っているわけです。ようするにあぶないと言う俗説が放置されているだけですが、俗説だからしょうがないじゃないとだれも問題にしない、これは僕には異常事態に思えます。
今回は意図的にではないかもしれませんが、怖いのは社会が扇動に乗りやすくなることです。まぁ昔から日本人は騙されやすいのかもしれませんが、気をつけてください。
一家健康・これ幸いなり
おかげさまで今年も金子、奥田両家の両親とも大きな病気もなく元気にしています。これはけっこう大変なことです。こんなに幸せなことはありません。
金子家は両親がemailを始めたので、emailで連絡がとれるようになりました。奥田家もお義父上殿がemailで連絡がとれます。3人に平均年齢は70才くらい。高齢ではパソコンは難しいと思っている方もいるようですが、何も難しいことはありません。今日のパソコンは使いやすくできていますから、日常生活が営める人だったら大丈夫。非常識な若者よりは、賢い高齢者の方が有利なくらいです。なんだったら70才以上の方でパソコンを始めたい方がいたらご指導します、実のところほとんど手はかかりませんでした。
結婚10周年
というわけで、格と都子、10年間なにごともなく平穏無事な家庭生活を送ってまいりました。まずは皆様のおかげかと感謝しております。平穏無事っていいですね。
10周年の記念に、プラハ、ウィーン、ブダペストの旅をしてまいりました。下はたしかウィーンからブダペストに向かう車中でのツーショットです。

アスキー業績不振/退社
えっと、昨年はだいぶ改善傾向と書きましたが、行間の苦しさを見ていただければありがたかったと思います。17年のアスキー奉公もついに終わってしまいました。
これについてあまりくどくどと言い訳するのはみっともないですね。でもとりあえず私は経営に関わっていなかった点と、関わる努力もしなかったことだけは事実ですので言っておきましょう。何もできることがなかったかというと、なにかあったかもしれないんですが、どうも他の方の意思を押し曲げてまで自分の意思を通すのは趣味じゃないんで、やばいんでないの~と思いながら何もしませんでした。こういうのが一番よくないのかな。
なんにもしなかったかっていうと、意見を聞かれた時にはちゃんと答えましたよ。たとえば一度だけ、店頭公開後に公開で得た資金をどう使うか考えろ、っていう会議がありました。当時はバブルの絶頂だったので「とりあえず何に投資しても割りがあわないから貯金しときましょう」という案を出したのは私です。その後経営方針について何も聞かれなくなったのは言うまでもありません。記録にも残らなかったしなー。だからやっぱり、しょうがないのではなかったのではないかと思います。
デジタルTV購入
昨年はHDTV(Muse)を購入しましたが、今年はデジタルTVチューナーも導入しました。BSデジタルの規格策定にもちょっとだけ参加させていただいたのでちょっと責任もあるしね。
意外に妻が気にいってます。画質も気に入っているようですが、古いアニメや米国ドラマが好きだから、(デジタル放送はコンテンツが不足しているためなつかしアニメの再放送が多い)。画質はまぁまぁといった所ですが、もちろんNTSCよりは格段に綺麗。もうNTSCには戻れません。普及低迷が心配されましたが、20万円を切ったので、あとは順調に数年で1000万台ラインは超えるのではないかと思います。
戦争は根絶できるか
昨年も書きましたが、やはり生きているうちに戦争の根絶を見てみたい。今回のテロ事件を考えても、やはり予想される被害は発生してから対応するより予防を考えるべきではないでしょうか。
戦争や紛争の予知は地震の予知よりは多分簡単です。米国多発テロの危険を事前に予知し、予防的に対応していれば、おそらく今回の作戦の1/100の予算で予防できたでしょう。貴重な人命も失われなくて済んだことも言うまでもありません。
戦争の根絶は、平和主義とは無関係に国家の戦略しても今日最良のものです。暴力による圧力ではテロリストの方が米国より勝っています。戦争の根絶こそが最も精緻で強力な戦略で、しかも日本人としても全く制約なく全力を尽くすことが出来ます。戦争の根絶にこそ、もっと予算をかけ努力すべきではないかと思います。
人は存在意義を見出せる?
なんてこともちょっとは考えます。ま、快楽におぼれて日々を送っているのが実情ですが。
やはり、それぞれの存在意義を時々考える、というのは僕は好きです。なかなか成功にはほど遠いですが、僕の存在意義は、何か新しい視点を提供できて、ちょっとは知的刺激を与えられる存在になることだと思って日々研鑚しています。このコーナーを見て、あるいは僕の論文を見て、多少は知的刺激があったでしょうか?だとすればとってもうれしいです。
今年注目の新技術は?
ジンジャーあらためセグウェイ(昨年大発明と騒がれた直立乗用大八車)がちょっとがっかりだったので、(そりゃあんなのだったら先行特許も山ほどあるわいな)、今年は景気回復に繋がるような画期的な新技術に出てほしいですね。昨年に引き続いて組織の分析に注目しています。価値の創造(企業組織の中で、いつどこでどうやって価値が創造されているか)をリアルタイムに、かつひじょうに細かく分析できるようになれば、企業組織の効率も飛躍的にあがり、働く人もやる気が出るし、雇用問題も解決するかもしれない。IT化はここまで進んでこそ、真価を発揮するでしょう。
職業経営者不足をどう解消する?
日本ではやっぱりこれが最大の課題ですよね。
よい経営者とは。たとえば、その人が元気のない会社の経営者になったとするでしょ。するとたちどころに社員が元気になってくる。製品がみるみる良くなってくる。魅力的な新製品もてくる。財務体質もバランスがとれ、見通しよいものになる。株主も安心して増資に応じる。銀行も融資を増やしはじめる。負債も減って配当金も増える。こういうのが有能な経営者ですよね。日本には有能な経営者がもっともっと必要です。
日本は競争の激しい社会ですが、経営者には競争がありませんでした。これがきっと有能な経営者が枯渇している原因なんでしょうね。職業経営人の流動化や、海外からの人材供給がもっと進むとよいと思います。
経営を支配するのは資本です。昨年、日本企業の株式売買額はついに外国人が50%を超えたそうです。外国人の方が経営に直接発言するので、案外早く経営刷新は進むのかもしれません。
今年活躍する企業は?
僕は、リストラ組に期待しています。過去と早く決別した方が再起は早いもの。昨今の大量リストラで会社に見切りをつけた方々の中には、資金も豊富で長期的な計画でじっくりビジネスプランを練っている方が驚くほど大勢いらっしゃいいます。そういう中でいち早く成功する企業というのが、今年は話題になるのでは。
一方で、ここに至ってまだ思考停止状態でリストラ、合併、IT化だけを唱えている企業はとても心配です。個人的経験からして、会社の方針と違う人はだんだんと会社を離れていきますので、ある時点からは軌道修正はとても難しくなるようです。こうなると資本(株主)が気がついて強権を発動するしかありません。
どうなる田中さん? 
田中さんのキャラクターって好きだぁ。政治判断もしないし、自分に有利か不利かも考えてないし。なんか明治時代の政治家みたいで、すごいです。目白が井戸塀になったってやるって感じですね。どこまでがんばれるかわかりませんが、がんばって下さい。応援しています。
就職
他人のことを言っている場合じゃないんですよね。実に深刻な問題です。
ちなみに本当に心配している人にちょっとだけ安心してもらいますと、いちおうアルバイト的な仕事はけっこうあるんです。当面収入は確保できますが、不安定ですし、妻が「自由業なんてだめよ」と申しますので、やはり就職したいです。
でも就職しても日本では、実は僕くらいの年収と学歴の人はいつでも解雇できる(らしい)ということは、妻には内緒。
博士号
審査がいつなのかはよくしらないのですが、1月中に出せ、と言われております。こんなくだらない新年の挨拶を書いている間に早く論文書けよー。と指導教授に言われそうですが。着実に進んでおります。
MPEG/IPMP
退職後は大学の無給の研究員という立場で活動しているのですが、MPEGの標準化活動も続けています。
今年のトピックはIPMP。委員会にはだいたい10名くらいしか出席しないのですが、動向はみなさん多少気にしているらしく、説明会を企画したら1週間で50名近い登録がありました。
http://www.itscj.ipsj.or.jp/jp/ipmp_tutr.html
最近は論文も、だいたいセキュリティ・ネタで書いてます。自分で言うのもなんですが、私の論文はちょっとは面白んではないかと思っています。
2002年2月号の映像情報メディア学会誌にも技術解説を載せます。興味のある方は読んで感想をいただけるとありがたいです。
今後の研究テーマ
僕の研究テーマを選ぶ方針は、基本的に残り物を食べる、という方針です。えびの尻尾とかね。お金もかからないし、結構おいしいよ。
IPMP関係の研究もしつこくやっているうちに、大分おいしくなってきました。後はCraigさんががんばって作ってくれそうだから、もう少し人が集まったら引退かなと思います。
お金も稼がないといけないし、なんかjavaとサーブレットさえ書ければ仕事は山ほどあるそうなので、しばらくjavaサーブレット書きで怠惰な生活を送ってみたい気もするのですが、人生は短いのでやはり僕にぜひ、といった仕事をやった方が幸せです。
実はセキュリティ関係の委託研究はほとんどありません。今がチャンスなのに、なぜか皆さん興味がない。一方オーディオ圧縮関係は、いまさらなぁと思い始めた最近になって依頼されることが増えてきました。圧縮では一度もトップの成績を出したことがないので、一度くらいトップを狙ってみるべきかもしれません。
ま、ようするに自分で選ぶというよりは、頼まれたことは、頼んでいただいたことに感謝しつつ一生懸命やってます。こんな状態でも、研究テーマの依頼があることはとっても幸せなことだと思っております。今後ともよろしくお願いします。